2025年03月29日

マツ枯れAIの論文が出ました!

昨年12月(2024/12)から書き始めた
(1)AIによるマツ枯れ検出の論文
(2)マツ枯れ調査のマニュアル書
が,富山県森林研究所研究報告17に掲載されたのでお知らせします。
※地方林試の研究報告ですが,内部の2名の査読を受けています。

物体検出アルゴリズムによるマツ枯れ被害木の検出に関して,日本を対象とした研究事例はいくつかありますが,学術論文として発表されたものは,私が知りうる限りでは皆無であり,(1)の論文が2025/3/31現在,唯一無二の日本一の研究事例となるはずです。

小林裕之・松浦崇遠・中島春樹(2025)UAV画像と深層学習による松枯れ被害木の自動検出,富山森林研報17:1-11
この論文が呼び水となり,AIを活用したマツ枯れ検出の研究が発展することを期待します。

小林裕之(2025)ドローンとAIを活用した松枯れ被害調査の作業手順,富山森林研報17:12-20
このマニュアル書が現場で実務を行う林業関係者の現地調査の効率化に繋がることを期待します。




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2025年03月25日

森林学会を終えて

私の富山県職員としての最後の森林学会(+関連研究集会)を終え,昨日(札幌)→(富山)直行便にて帰宅しました。
研究職に転じてから約34年間,自分なりに頑張ったと思います(博士号も取れたし)。

私は京大林学科出身ですが,森林リモセン分野には京大出身者が一人もおらず(たぶん,過去も現在も私ひとり?),先輩後輩のつながりが全くなく,ずいぶん寂しい思いをしました。
私は都道府県の職員ですが,地方林試で森林リモセンをやっている方も,以前は北海道,岩手県,広島県,沖縄県などにおられましたが,ほぼ絶滅してしまい,すっかり寂れてしまいました。
そんな中で,リモセンを始めた頃から3回,短期研修でつくばの森林総研でいろいろ教えてもらい,そのつながりで人脈も増え,私の研究生活に光明を与えてくれました。

といっても,衛星リモセンでは大した成果も出ず(県レベルでは衛星の解像度が粗すぎたり,高分解能衛星の価格が高過ぎたり),航空機LiDARは大手航測会社とコネのある大学や国研の方だけが研究し,県の研究者は取り残された感が一時期ありました。その後20万円前後で買える光学ドローン(UAV)が普及し始め,自分で超高解像度のリモセンデータを取得できるようになり,再び県の研究者でも勝負できる(論文が書ける)時代が来ました(←今ここ?)。
※レーザードローンは県レベルでは高価格で手が出ない

私が今回一番興味を引かれたのは,SAM(Segment Anything Model)です。私が聴講した発表では以下の2題がこれを使っていました。
・D-25 UAV画像と機械学習を組み合わせた樹冠抽出及び樹種分類 若槻ら 東京理科大
・D-29 3波長同時計測航空機LiDARデータを用いた広葉樹の樹種間特徴の比較 山口ら 名古屋大
経営部門の発表要旨リンク集はここ↓
https://www.forestry.jp/meeting/meeting136db/?presen_stp=2&presen_tar=%E7%B5%8C%E5%96%B6%E9%83%A8%E9%96%80%5BForest+Management%5D

facebookをやっているMeta社が開発したAIによるセグメンテーションモデルで,無料です。
QGIS用のブラグイン(Geo-SAM)があることも教えてもらいました。
さっそくホテルのWi-Fi環境下で私のPC上のQGISにもインストールして,ちょっとだけ使ってみました。画像の適当な範囲を矩形で囲むと,その中のオブジェクトのポリゴンを一瞬で作ってくれました。感動です。
セグメンテーションを行う有料ソフトには,eCognitionがありますが,今買うといくらでしょうか?

今回の発表では,森林の樹冠抽出に使っておられましたが,例えば,
・微地形表現図を対象に,古い道(廃道となった登山道や古道など)を探索する
・過去写真オルソを対象に,林相の境界線を発生させ,森林境界明確化の参考にする
などの使い方があるのではないでしょうか?
読者の方は,このアイディアを盗んで,どんどん試してみてください。

Geo-SAMプラグインのインストールと使い方ははこれら↓(普通のプラグインとは導入方法が異なる)
https://qiita.com/jtagusari/items/8ccef11deb8ddba22a89
https://zenn.dev/syu_tan/articles/8e22f61ba8a761
が参考になると思います。

いずれ導入方法を解説した動画やブログ記事を作ろうかな,と,ちょとだけ思っていますが,もしやるとしても,4/1以降の広告解禁後にしようと思います(笑)。

(謝辞)
Geo-SAMについて,学会の会場でいろいろ教えてくれた,名古屋大D1のOさんにお礼申し上げます。



posted by Dr.koba at 06:08| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年03月19日

最後の森林学会?

3月末で退職するので,今回の発表が最後になるかもしれません。
講演要旨ほかです↓。
小林ら_要旨.png
私がD論のテーマにもした,3S技術(GPS,GIS,RS)の全てが詰まった集大成の研究発表です。
興味のある方は,3/21(金)14:30〜@S3S教室へお越しください。D-12です。
第2著者は地上調査を,第3著者はRスクリプトの開発を担当しました。

今日(3/19(水))の夜は,青年海外協力隊員時代にマレーシアのサバ州にいた友人3人と会食をすることになっています。
楽しみです。
富山空港→新千歳空港→札幌駅→ホテルチェックイン→アンパック→大浴場(露天風呂あり)→夕食会場
寒そうですね。
北大のキャンパス内は3/18現在で雪があるようです↓。
https://www.forestry.jp/meeting/
名札は印刷しました。

森林学会員の方々,会場で会いましょう!


posted by Dr.koba at 05:58| Comment(0) | TrackBack(0) | AI(人工知能) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする